「KORG Gadget 2」と言われれば、やはり“シンセサイザーなどのガジェットがたくさん使えるアプリ”という印象があると思います。
しかし、サンプラーとして使えるガジェットもいくつかあります。
今回は「KORG Gadget 2」から、サンプリングしたファイルを演奏、打ち込みができるものを調べてみました。
サンプリングファイルが使えるガジェットは4つ
2019年8月現在、オーディオファイルなどを外部から読み込んで扱う事ができるガジェットは“4つ”です。
- Vancouver(バンクーバー)
Layering Melody Sampler - Bilbao(ビルバオ)
Lightning Sample Player - Abu Dhabi(アブダビ)
Dynamic LoopSlicer - Stockholm(ストックホルム)
Octo Sample Loop Player
それぞれ、けっこう特徴的な使い方になっているようです。
まずは“どういう風に使いたいか?”というところからガジェットを考えてみます。
1つの音からメロディを演奏したい
1つの音をサンプリングしてメロディを演奏したい場合。
つまり、“鍵盤に合わせてピッチが自動で変わる”という事ですね。
これに当てはまるのは「Vancuver」というガジェットです。ちなみにバンクーバーはカナダの都市名ですね。
例えば、「アー」という声サンプリングした場合。
「ドーレーミー」と弾けば、「アーアーアー」という風にピッチが変わって音階が演奏されます。
ちなみにピッチが高くなるにつれて再生される音が短く、低くするにつれて音が長くなります。
このガジェットの他のサンプラーガジェットと違うところは、2つのファイルをレイヤーで重ねる事ができるという事です。この機能は他のガジェットにはありませんでした。
つまり、バイオリンとトランペットの音を設定すれば2つをミックスした音を再生できます。
さらに、空間系のエフェクトを1種類かけることができます。
以下は簡単な説明です。
鍵盤ごとに違うサンプリングファイルを使いたい
鍵盤にそれぞれのいろいろな音を配置して演奏したい場合は「Bilbao」を使います。名前のビルバオはスペインの都市。
16個のPADに音を配置する事ができます。いくつものファイルから組み合わせて、キットを作る事ができます。
やはり「MPC」(AKAIの有名なサンプラー)なんかと同じで、打楽器的にも使いやすいと思います。
設定できるパラメータは少なめです。ですが、1つ1つのPADに別の設定ができます。
エフェクトは1種類だけ使う事ができます。
以下、簡単な説明です。
画面左上のバタンをタップすると自動演奏をさせることもできます。録音することも可能です。
同じようなガジェットで「Recife」というガジェットがあります。
こちらは外部ファイルを使う事ができません。
ループを切り刻んで使う
1つのループファイルを切り刻んで使うのは「Abu Dhabi」と「Stockholm」があります。
Abu Dhabi
まずは「Abu Dhabi」。アラブ首長国連邦の主要な国の名前です。
「Abu Dhabi」は読み込んだファイルを冒頭から“16個”の音に自動で切り分けます。
ただし“ファイルの頭から最後まで”という事ではなく、あくまで“冒頭から16個までで、それ以降は読み込まれない”という事みたいです。
使用するのはなるべく短いファイルにした方がいいですね。
曲など、ループ以外の物をスライスして使うのも面白いと思います。
こちらも1種類エフェクトをかける事ができます。
「Bilbao」と違うのは、やはり使うのは“1つのファイル”という事ですね。
ですが、こちらはファイルを読み込んだら自動で配置されるので便利です。
以下、簡単な説明です。
Stockholm
続いて「Stockholm」。
DAWソフト「Reason」の中にある「Dr.OctoRex」をガジェットにしたものです。
名前のストックホルムはスウェーデンの首都で、「Reason」を作った「Propellerhead Software」もスウェーデンの会社です。
こちらは、wavファイルを読み込む訳ではなくRexファイルという特殊な設定のファイルが必要になります。
KORG Gadgetのサイトの説明からRexファイルの説明です↓
Rex ファイルとは?
https://support.korguser.net/hc/ja/articles/115001030803
Rex ファイルは Propellerhead 社の ReCycle で作成されたループに特化したファイル・フォーマットです。ループを” スライス” して、各ビートの個別のサンプルを作ることによって、ピッチに影響を与えずにループのテンポを変化させ、またループをあたかも個々のサウンドで構成されているかのように打ち込むことが可能です *。
* Stockholm では Rex ファイルへの変換/編集を行うことはできません。Rex ファイルへの変換/編集は、Propellerhead 社 Reason、ReCycle をご利用ください。
ガジェットの元になったものがあるので、少し機能も多いです。
またループも同時に8種類、読み込めます。
「Abu Dhabi」と「Stockholm」の2つの大きな違いは、“Rexファイル”で読み込むかどうか?という事です。
“Rexファイル”は読み込んだ時点で設定がされているので、すぐ使えるのが魅力。
ただ、やはりRexファイルを使わないユーザーには縁遠い感じになりそうです。
↓こちらの詳細は別の記事にまとめました!
ファイルの読み込み
外部ファイルの読み込みはどれも、サンプリング選択画面で「Import」をタップして読み込みます。
それぞれの特徴まとめ
- Vancouver(バンクーバー)
サンプリングファイルをメロディにして使う。
レイヤーで2つの音を同時に再生することもできる。 - Bilbao(ビルバオ)
16Padのような使い方。指ドラムなど、これだけでパフォーマンスすることもできる。
MPCのような打楽器的な使い方。 - Abu Dhabi(アブダビ)
1つのファイル(ループや曲など)をスライスして使用する。
ファイルの長さを気を使わないといけない。
エフェクトをかけたり、加工をして意外性のあるアプローチもできる。 - Stockholm(ストックホルム)
Rexファイルを読み込む事が必要。ドラムや色々なループを使える。
Rexファイルがあれば、配置も簡単で1番優秀な使い方ができそう。
まとめ
ガジェットよって、住み分けがしっかりされています。
DAWなどに入るソフトはたくさんの事が出来てしまうので、単純操作で『迷わなくていいな』と感じました。
設定自体も気軽にできるので、iPhone、iPadでどんどん使っていきたいですね。
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